浮気に思うこと(第3回)
(女の浮気の原点はパンドラ)

これから先には、実際のギリシャ神話には無い私の勝手な仮説が一部挿入されていることをお断りして話を進めていきたいと思います。ゼウスは、天と地と海を造り、地と海から空が分離した時に海には魚を、空には鳥を、そして地には四つ足の獣を造りましたが、少し頼りないので獣より少しだけ知恵を持った人間を、かってゼウスとの戦争で敗れた巨神族のプロメティウスとエピメティウス兄弟に命じて造らせました。しかし、この兄弟はこの知恵を何にするかに迷って、こっそりゼウスから火を盗んで人間に持たせる知恵としてしまいました。これが、ゼウスの知るところとなり後々、人類にとって大きな問題となりました。

一方、ゼウスは人間にも女が必要であると考えて女を創ることを神々に提案しました。神々の浮気相手が神々の女(女神)だけではもの足らず、人間の女にも手を出そうと考えたのでしょうか、自分の浮気相手に相応しくなるように、女にこの世のいいものを全て兼ね備えさせるべく、神々に女にいろいろな贈り物を与えさせました。その意味で、この人類第1号の女は「パンドラ」と命名されました。 このパンドラに、神アプロディーテは美しい肉体を、神アポロンは美しい歌声を、神アテナは知恵を等を与えました。そしてヘルメスが最後に美しい彫刻を施した金の箱を与え、決して開けてはいけないとパンドラに告げました。

ところが、ゼウスはこのパンドラの箱に二つの策略を用意していたのです。一つめは金の箱の中に、病気、悪意、妬み、憎しみ、偽善、保身、悲しみ、飢え、暴力、狂気・・・・と言った禍のもとが一杯詰めておくように指示しておいたことです。ゼウスはプロメティウスとエピメティウス兄弟が火を人間に与えたため、人間が増長してきたことを怒り、兄弟に復讐し、人間をたしなめるために、この箱を開けることでいろいろな禍が人間に降り掛かるように仕組んだのです。

二つめは、この箱を人間であるパンドラが自身が開けるようにさせるために、ヘルメスに命じて、パンドラに「好奇心」を与えさせ、かつ箱を開けないようにパンドラに告げるように仕組んだのです。結局、好奇心に駆られたパンドラは、この箱を開けてしまいました。その瞬間、この世の禍のもとが物凄い勢いで箱から出てきたため、パンドラは慌て箱を閉めました。殆どが出てしまいましたが、一つだけ「希望」が残っておりました。実は、これもゼウスの計らいによるものでした。

箱の中のものが全て出てしまったら、人間には救いが無く自滅してしまいますから、それではゼウスの意図に反することになります。人間が、絶望の中から一筋の希望をいだいて生き延びていくことを期待して「希望」が最後に残るように細工させておいたのでした。しかし、パンドラに「好奇心」を与えたことはゼウスにとって失敗でした。それは、パンドラの好奇心がだんだん「浮気心」に変化して、人間の男に媚びを売るようになってしまい、ゼウスにあまり関心を持たなくなってしまったからです。勿論、この下りは私の仮説ですが、このことが人間の女の浮気の原点になったと私は考えております。


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