小さい頃、実家のある静岡県の焼津で海水浴していると砂浜に打ち上
げられたお盆のお供え物の野菜や果物が腐敗して悪臭を放っている
のを、子供ごころにご先祖様が食べた跡と思っていましたが、波打ち際
の海面にそれらが漂っていると泳いでいても気分が悪くなるので、つい
きれいな沖まで泳いで溺れかかったことも有りました。 そう言えば、明治時代にこうした日本の風習と急深で荒波寄せる、この 焼津の海、そして焼津気質が大好きだった外人さんが居たことを思い出 しましたので、彼のことに触れてみましょう。 彼は私の実家の近くの家の2階に下宿してお盆の頃になると私たちが泳 いだこの海岸で泳ぐのが大好きだったのですが、こうした腐敗したお供え 物を見てどう思ったのでしょうね。 彼の名前は、小泉八雲(ラフカデイオ・ハーン)と言います。 彼は海が好きだったので、夏休みを海で過ごそうと考えていた折り、以前 松江中学在職中の同僚で後に浜松中学に転任した田村豊久さんに浜松 付近の海に誘われたのですがが遠浅で気に入らず、たまたま同じ駿河湾 沿いの焼津に明治30年(1897年)8月4日に訪れ、その急深で荒波寄せ る焼津の浜が気に入ってしまったのです。 |
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