講座集 第9章 水に関するQ&A

Q5:東京の神田川の水の大半は元は下水って本当?
A5:本当です。

本当です。
神田川を流れる水の大半は新宿区内の落合処理場で下水を浄化処理して得られる「雑排水」と呼ばれる水です。
東京の水道は明治に入っても神田上水や玉川上水等の江戸時代の水道がその まま使われていましたが、水質の汚染が原因で明治19年のコレラが大流行する に及んで近代式水道の必要性が認識され、玉川上水を利用して、多摩川の水を 淀橋浄水場に導いて沈殿、ろ過を行い明治31年に神田・日本橋の両地区に初 めて通水されました。
この淀橋浄水場はその後、昭和40年3月まで使用されましたが現在は廃止され、 ご存じのようにその跡地には新宿副都心の高層ビルが建てられております。

廃止された淀橋浄水場の代わりは同じ新宿区内にある落合浄水場がが受け持 っており、ここでは「活性汚泥法」と言う浄水方式が採用されております。
この方式により汚水中の汚濁成分を食べてきれいな処理水にしてくれる活性を持つ微生物を かたまりの状態(活性汚泥)にして汚水中に分散させ、同時に多量の空気を気泡 にして送るとこの微生物が活気づいて汚濁成分を食べて汚水をきれいな水に浄化してくれます。

こうして浄化された水は雑排水(下水再生水)と言われ、ある時当時の厚生大臣が試飲してみせた程きれいな水ですが上水や工業用水への転用はできませんのでその相当量が河川に送水されております。水源が枯渇して流量が減少した河川の流量確保するためにもこの送水が役立っているようです。例えば神田川の水源の井の頭池の湧水は殆ど枯渇しておりますので本来なら神田川は死の川になりかねなかったのですが落合処理場からの雑排水の送水により流れが甦り、アユがが見つかったことが話題になるほどのきれいな川になりました。

トイレ排水に上水を使うのは如何にも勿体ないので、この雑排水をビル内のトイレ排水に採用することが 検討され一部実施されております。
また、羽田空港では近くの森ケ崎浄水場からの雑排水を 航空機の機体洗浄水として利用しております。
Q6:東京ドームのトイレ排水は雨水って本当?
A6:本当です。



上図は東京ドームの公式サイトから引用させて頂きました。
  膜屋根に降った雨水を、地下の貯水槽に貯留して下水道への雨水放流の緩和を図ると同時に、貯留した雨水はトイレの洗浄水(流し水のみ・手洗いは別)として、また災害時の消防用水として活用しているとのことです。

更に独自の超深層曝気法で洗面、厨房から出る排水を処理して再生利用を行う「中水道システム」(水のリサイクルシステム)を採用し、これら2つのシステムを有機的に結びつけることによって、ドーム内で使用される水の約1/3をまかなっているとのことです。
雨水を生活排水とともに下水道に流しますとその分下水処理の負担が重くなりますが、雨水を利用することでこの負担 が軽減されるメリットも有るわけです。

これと同じ方式が都内では個別循環として警視庁本庁舎、朝日新聞社他、 地区循環として恵比寿ガーデンプレイス、アークヒルズ、 広域循環として新宿野村ビル、新宿国際ビル、新都庁舎で実施されております。

前 頁 へ 次 頁 へ
P−3
inserted by FC2 system